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zoom RSS 10) 『恋愛について』 中村真一郎編

<<   作成日時 : 2006/06/27 21:15   >>

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すこし前まで「モテ」なる言葉がはやりました。今も使われているのかな。戦争の危険も、餓える危険もない現代のわたしたちの国で、つねに人の関心を惹いてやまぬもののひとつに恋愛があるでしょう。恋愛がかくも騒がれるのは、それが性に結びついているからというよりは、消費に結びついているからだとわたしは思っているのですが、「付き合うと金がかかるからなあ」と言いつつ、好きな女の子の前では羽振りよく振舞う男性を見るのはおもしろいものです。

今回は恋愛論の本を。
執筆陣が豪華です。瀬戸内寂聴、谷川俊太郎、梅原猛、武田泰淳、太宰治、坂口安吾など十九人。文学者が多いので大半が観念論です。「モテ」を目指す方向きではありません。

初版が89年ということで、一部(性とか結婚とか)ずいぶん現代人の目には古く思える箇所もありますが、それを差し引いても一読の価値はあると思います。

わけても出色は冒頭の、森瑤子、富岡多恵子、大庭みな子の三人。
この三人のエッセイを読むだけでも充分かも。

とくに富岡多恵子さんの「アイスル・アイシナイ」。何の根拠もなく、それまで常識と思っていたことがにわかに疑わしく思えてくる、目から鱗の一編です。

女の子も男の子も年ごろになるとケッコンというものをしたがるようで、それはなぜなんだろうと晴れた日の午後などにザルソバなんか食べているときふと思うことがあるが、そういうザルソバ的思考ではわからない。それではと机の上のチリをはらって、正座してから考えたらわかるだろうか。
(略)
ケッコンしなくてもすきなひとといっしょにいたり暮らしたりすることはできるが、そんなことしちゃぜったいに損ですよ、とわけ知りおばさんや身の上相談のおばさんがいうので、女の子は損したくないからケッコンする。もちろんなにをどう損するのかはまだしていないから知ってはいない。しかしいったい、好きなひと愛するひとといて損するなんてことがありうるだろうか。



「好きだから結婚する」と大半の人が言ってわたしたちは納得してしまいますが、ん?待てよ。 好きと結婚がなぜ結びつくわけ?好きなら結婚なんかしなくてもいいじゃん。

好きなら結婚しようがしまいがどっちでもいいのでは。結婚すると「子供はまだ?」とか聞かれるし、親戚付き合いも増えるし。何年も前に「週末婚」というドラマがあったけどああいうのもアリなのでは。
もちろん「好きな人とは四六時中一緒にイタイモーン」という人たちはそうしてください。でも、それ以外のやり方もあっていいと思う。週末婚とか同棲とか。他人に迷惑を及ぼさない範囲で各人がそれぞれの価値観に従って生きられる。自分や自分の周りとは異質な考えだからといって排除するのではなしに、色々な人たちの色々な生き方を容認できる、受け入れられる、そういう世の中こそ、いい世の中というのではないかな。

だから既婚者の人たちにお願い。
「結婚しなくていいの?」とか聞かないで。
あなたたちは社会的に強者なんです。独り者は、どんなに強がっても社会的には弱者。だからあんまりいじめないでくださいな。あなたたちのハッピーを押し付けないでくださいな。ハッピーは一人ひとり違うものなんですから。

「彼・彼女が好きだから、結婚なんてどうでもいいんだ」
当たり前のようにそういえる人たちが増える世の中がいつか来るのだろうか。来ておくれ!できれば明日にでも!

あああ。恋愛についての本で結婚について語っちゃったよ。

ついでだから大庭みな子さんにもガツンといってもらいましょう。

結婚によって生涯の指定席を買ったように思いこむのはよくない。結婚は常に壊れるかもしれない、という前提のもとにせいいっぱいの努力をして持ちこたえさせるものである。結婚によって妙な安心感を持っている人は、人をいらいらさせないが、いくらか愚かに見えるし、結局はあまり魅力がない。
(略)
いずれにしても結婚は離婚の可能性をいつも含んでいるし、離婚のない結婚はむしろ暗黒である。


(岩波文庫)

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