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zoom RSS 13) 『インターネット的』 糸井重里

<<   作成日時 : 2006/07/01 19:56   >>

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情報産業を主題に据えた本とくに新書は鮮度が最重視されるうえ、業界の成長は日進月歩ならぬ秒進月歩の感さえあるのだから、2001年発行の本書など「遅れてる」の一語で片付けられてしまうのだろうか。技術的なことに関していうのならそうだろうが、本書は少し趣がちがう。インターネットではないインターネット「的」が主題だからだ。

インターネットをするには当然ながらパソコンが要る。
インターネット的にはパソコンはなくてもよい。いらない。
インターネット的とは、矛盾のような物言いをするなら、人と人との孤独なつながりのことを指すからだ。この違いを著者は「自動車とモータリゼーションの違いみたいなもの」と言う。

インターネット的の特徴は三点。
リンク、シェア(情報等を独占するのではなく、提供すればするほどその人のところに情報は集まってくる)、フラット(ネット上では年齢も性別も学歴も職業も国境もなく皆が平等)。
一言でいえば、みんなで楽しもうぜということ。
おいしい情報をいちはやく手に入れ株を買い占めて俺だけウハウハという価値観とは何万里も隔たった考え方といえる。

糸井さんは「勝てば官軍」的な論理は息苦しくて嫌だ、仮にそれが正しくても「僕は嫌いだ」という。一方で清貧の思想なんてものも信じない。健全でまともな神経だと思う。

ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」のエピソードを絡めながら、糸井さんは自由に意見を展開していく。その中には新鮮なものも少なくない。
「価値観の多様化はマーケットの多様化である」
「人間はマーケティングでコントロールできるものではない」
「消費者の側にもクリエイティブ=豊かさが求められる」
どれもうんうんと頷けるものだった。

価値観の多様化に困っているのは旧態依然とした売り手の側であって、ロングテールが広がればそれだけ市場は活性化するはずというのはもっともな話。雑誌の「ショッピング、グルメ、ダイエット」の三点セット特集に辟易している人も多いんじゃないかな。働く女性の興味はそれだけじゃないのにと。
そして消費の豊かさ。IT長者の殆どが、消費といえば「高級車、億ション、おねーちゃん」しかなかったという話には笑った。バブルのときと同じで消費の発想は貧しいまま。せっかくお金もってるのに勿体ない。もっと違う発想ないの?

インターネットとタイトルにはあるが、むしろ糸井さんの人生論的な本。
コピーライターとしてしかこの人を知らなかったので新鮮だった。他人の目には結果しか映らないから分からないけれど、そこにいたるまでの過程にはいろいろな葛藤があるということを改めて思った。糸井さんですら将来に危機感をもったというのに、わたしときたら日々安穏と過ごしてばかりでイカンなあ…

(PHP新書)

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