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zoom RSS 38)『鳥を見る』 野口里佳

<<   作成日時 : 2006/08/17 14:08   >>

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野口里佳さんの作品集。
「潜る人」「鳥を見る」「フジヤマ」の三作品を収める。
このひとが撮るのは、「何気ない日常の断片を瑞々しい感性で切り取った」云々の写真とは異質の、非プライヴェートの風景。巻末の解説文を読むと、野口さんは普段からカメラを持ち歩く人ではないということが知れて、なるほどと頷く。

「安易な物語を避ける」と野口さん自身はいっているが、本書に収められた三つの作品にはどれも物語を感じてしまう。とくに「鳥を見る」。これはタイトルと違って全然鳥なんて写っていなくて、半被(はっぴ)を着て凧揚げをする男たちの写真。奇妙なのはどれも遠く距離をおいているために人物たちの表情は見えないにも関わらず、きっと彼らは「楽しそうに大笑いしているだろう」ということが伝わってくること。
ざらざらしたモノクロームの質感の内に鮮やかな光を捉えた「潜る人」にしても、クリーム色の雲の上に聳える富士山を歩く人たちを捉えた「フジヤマ」にしても、そこに物語を読んでしまうのはきっと私だけではないと思う。

彼女の写真のなかには日常とは切り離された時間があり、空間がある。潜水夫を「まるで月に行く人のよう」に感じたという野口さん。半被を着て凧揚げをする男たちも、霧に包まれた富士山を登っていく(亡霊のようにも見える)登山者たちも、あらかじめテーマ設定されている。

もうひとつ感じるのは静寂さ。写真だから音がないのは当たり前ながらどうしてこんなに静かなのだろうと思う。「潜る人」も「フジヤマ」も、写っている人物たちはきっと無言なのに違いない。無言で潜り、無言で歩く。ただ、これは無音というよりは雑音のないクリアーな世界といったほうが適当かもしれない。

野口さんの感覚を言葉で表そうとすると、女性的とか男性的とかいう言葉をすり抜けてしまう。彼女はもっと純真な視線で世界を見ている気がする。女性である以前に子どもというか…。こういってしまうと誤解を招くかもしれないし、全然ピントはずれかもしれないが、わたしは写真についてはずぶの素人なので専門的な難しいことはよくわからない。
子どものほうが大人より単純だという意味ではもちろんない。そういえば、誰の言葉だったか忘れたけれど「モーツァルトは子どもには簡単だが大人には難しい」という言葉もあった。彼女のなかには一人の子どもがいて、その子が写真を撮るときの野口さんなのではないだろうか。そんなことを感じた。


ちなみに、ネット上で野口さんのインタビューおよび作品を見ることができます。
Fuji-tv ART NET:阿部知代アナの「この人に注目!」
「ロケットの丘」、いいですねえ。
しかし、この人もきれいな方ですね…天は二物を与えたのか…

(P3 art and environment)
品切れのようですが版元からなら直接購入できるようです。

4309904025鳥を見る―野口里佳作品集
野口 里佳
P3 art and environment 2001-02

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