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zoom RSS 『小説修行』 小島信夫 保坂和志

<<   作成日時 : 2007/02/01 22:36   >>

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小島信夫と保坂和志の往復書簡を一冊に纏めたもの。主に小説の可能性みたいなことについて語っているが、わたしは「小説とは何か」的な問いにはあまり関心がないので(小説に限らず、本は読んで面白ければ満足なのです。面白さの種類はいくつもありますが)、それよりも本書を読めば小島信夫という不思議な人物が少しは分かるようになるかとの期待で『抱擁家族』と併読していた。

ひたすら二人の作家が、ときに読者を放置して小説についてあれこれ語っているのは、読んでいていい気持だった。保坂さんは熱く、小島さんは飄々と。読んでいて気がついたのだが、小島さんの文章は小説みたいというか、小説もエッセイも違いがあまりないというか、保坂さんが小島信夫の小説の特徴として「脳の中の現実の放り出し」といううまいことを言っていて、それなら小島さんにとって、小説もエッセイも違いはないのかもしれないと思った。

扱われる作家について。
トルストイ、チェーホフ、カフカ、小島信夫、保坂和志。この五人の作品についての記述が多い。カフカが世界文学史上もっとも重要な作家の一人であることにはわたしも異論はないけれど、注目すべきはトルストイ。わたしはこのひとにちょっとした偏見をもっていて、今日まで読まずに来てしまった。恥ずかしい(『復活』上巻のみ読んで、つまらなかったので止してしまった過去あり)。本書では「全体を描く作家」としてトルストイにたびたびふれる。絶版になることは絶対ないだろう作家の一人だから、ついつい先送りになってしまうトルストイ、読まねば。
ちなみに、表紙の切手めいた肖像はこのひとです。

肝心の小島信夫の魅力についても保坂さんによる解説があった。
小島信夫という作者のプログラムが狂っていて、読者は「作者のプログラムの狂いを一緒になって体験すること」が小島作品の醍醐味なのだという。「意味」を求める読み方では小島信夫は分からないともあって、これはカフカを読むときとも同じだと思う。「小島信夫はカフカの系譜」と語る保坂さんの言葉の意味が分かった気がした。
しかし、読み方を他人に解説してもらわねば分からないとは、これはなんですか。駄目ではないのか。

それにしても保坂さんの小説への情熱は並外れている。物凄い小説バカだ(賛辞です)。なにせ、「小説を書いているとき意外はいつも「小説とは何か」について考えている」というのだから恐れ入る。
このひとのものはまだ読んだことがないのだけれど、どういう小説を書いているのか、興味をもった。
(朝日新聞社)

4022576677小説修業
小島 信夫 保坂 和志
朝日新聞社 2001-09

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。小島信夫は私も興味があります。差し出がましいかもしれませんが、トルストイを「復活」から読むのは最も不幸な読み方です(失礼)。ぜひ、「戦争と平和」をお読み下さい。
ところで、お気に入りにcafe Mayacofskyがありますが、亀山先生のファンなのですか?そうでしたら、ぜひアンドレイ・プラトーノフ「土台穴」(亀山郁夫訳、国書刊行会)をお読みになることをお勧めします。大変アバンギャルドな作家ですよ(^^)。
摩訶不思議
2007/02/02 22:53
>摩訶不思議さん

こんばんは。
トルストイを「最も不幸な読み方」をしていました…。差し出がましいなんて、とんでもない。露文の専門家の方にアドヴァイスいただけるなんて感謝しきりです。これからもよろしくお願いします。やはり「戦争と平和」から読むべきでしたね…。

>亀山先生のファン

というわけではないのですけれど。新訳の「カラマーゾフ」の裏話がいろいろ読めるのでリンクしています。
プラトーノフは読みたいロシア作家の一人でした。うう、やっぱり面白いんですね。ああ、時間とお金が欲しいです(^^;)
もう一人、アスターフィエフも読みたくて。不幸な晩年だったようですね、この方は。
epi
2007/02/02 23:27

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