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zoom RSS 『モテたい理由』 赤坂真理

<<   作成日時 : 2008/01/29 00:00   >>

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女が望んでいるのは他の女よりも好かれたいということにすぎません。

リラダン『未来のイヴ』


昨今の女性をめぐるトレンドは、やれ「モテ」だのやれ「愛され」だのとかまびすしい。みんながみんな、本当に異性と関係をもつことを重要視して、それを望んでいるのか。単にメディアによるイメージの垂れ流しに洗脳されているだけではないのか。

本田透は『電波男』のなかで「恋愛資本主義」というおもしろい言葉を使っていたけれど、まさに昨今の女性誌の恋愛への過度なアプローチには、商業主義の匂いがぷんぷんしてむせ返りそうだ。本書は現代の女性を包囲する恋愛至上主義的な言説がいかに女性を不自由にしているかを述べるエッセイ。

まず冒頭近くの「モテ」ブームの分析に膝を叩く。
今一大ビジネスとされている「モテ」は、たしかに女性の好む価値観ではあるが、ものを育んだりやわらかに包んだりといった女性の美質というよりは、女性の「業」の部分をとり出して拡大したもののように思う。


なぜ昨今のメディアはやたらと「これからは女性の時代だ」みたいな言説を繰り返すのか。著者は自らの見解をこう述べる。
今日本のメディアが「女性の時代」と女性を称揚しようとするとき、それは本当に女性的な質に学ぼうというのではなく、社会も男も何もかも手詰まりになったために、経済フロンティアを女性にしようとしている感じが、私にはするのである。


「モテ」「愛され」メンタリティの牙城たる女性誌をたたく著者の舌鋒は鋭い。そこには入社二年目にして大きな企画を任されるキャリアでありながら、アフター6を遊んだりお稽古事をしたりして満喫できる、ありえない女子社員が描かれる。ありませんよそんな会社。いませんよそんな女子社員。トレンディドラマのなかにしか。まあこういう設定を本気にしてしまう読者がどこまでいるのか知らないが、毎号買って読んでいれば確実に価値観は影響されるだろうし、そうなればイメージと現実の自分とのギャップが精神を冒すようになっても不思議はない。「イメージに生命が殺され」たとしても。
女性誌は、制度をなし崩しに崩すかもしれない女の新しい潮流に対応しているわけではない。しかし現実面ではそれを反映していて、「特権的な女」ばかりで構成している。そうしかありえなかったのだろう。そこには生活保護を受ける人はいないし、糊口をしのぐ仕事の人さえいない。度胸と甲斐性に、とりわけ恵まれた女だけがそれをできる。


「ぶっちゃけ」なる下品な言葉が氾濫する時代である。建前はもう要らないということなのか。女性誌が垂れ流す、女の子は愛される力を磨いて経済力のある男性との結婚を目指そう的な物語は、はじめのうちは「こんなの妄想だ」と笑っていられるが、何度もパターンを繰り返されると馬鹿馬鹿しさを通り越して胸がむかむかしてくる。なんて露骨なのだろう、と。べつに内面を磨けとか欲望を抑えろとか座禅しろとかそんなむさ苦しいことをいうつもりは微塵もないが、それにしたってこのあからさまに商業主義的な女性誌の物語はあまりに美しさがないよ。品がなさすぎるよ。
ある「お嬢様っぽい(あくまで「ぽい」)」女性誌を評して著者はこう述べる。「見た目をお嬢さんっぽくするだけで、その姿勢は『がっついている』」。正鵠。
加えて、女性誌の「モテ」方法論は現実でどれほど有効性があるか、非常に疑わしい。一例を挙げるなら、
「勝負下着」は男に対して盛り上げ効果はない。「ヤル気マンマンで来たのが見えてもね……」「『どうだ』と威張られても」「バカだなダサい下着で恥ずかしがってんのがいいんじゃんか!」「脱がしちゃえば同じ」

赤坂真理 「関係性がすべての時代

日本の女性誌は、「どう気を引くか」「自分が他人にどう見えるか」というかたちの関係性には過敏なほど敏感で、そのためのノウハウも独自の言語規格もつくり上げたが、「恋人やパートナーとどう対話するか」ということは何も語ってこなかった。だから「ノウハウ」はみんな脳内妄想じみるのである。
あれだけ「モテたい」と言いながら男性への思いやりや共感のかけらもない。(略)男を金で値踏みする。さらには男性の好みさえろくに研究せず、同性の視線を意識したつばぜり合いを繰り広げる。細かいところで差異を競ううち、男性からはただ異様に見えるものが流行ったりする。
断言できますが、ネイルアートが好きな男子なんていません!


「モテ」「愛され」メンタリティの何が嫌かというと、それが徹底的に受動的でありながら同時に攻撃的なところだ。


4062879212モテたい理由 (講談社現代新書 1921)
赤坂 真理
講談社 2007-12-19

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4861990025電波男
本田 透
三才ブックス 2005-03-12

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