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zoom RSS 『黒猫/モルグ街の殺人』 ポー

<<   作成日時 : 2008/02/19 00:00   >>

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いまさらポーでもなかろうと思いつつ読み始める。

「黒猫」はおおむかしに読んだきりになっていたので、20ページ足らずの短さであるにも関わらず最後の場面がうろ覚えになっていた。読み直すと記憶と違っている。はて、思い違いかと訝る気持が起きる。もともと記憶力は決してよくはない。が、かつて読んだのはたしか中学生向けのヴァージョンだったので、もしかしたらポーの残酷さを和らげるために内容を改変していたのかもしれない。妄想めいているが、「モルグ街の殺人」を読むとそんな勘ぐりもあながち的外れといえなくもないのではと思えてくる。

「モルグ街」は世界最初の推理小説として名高い。密室で起きた母娘殺人の難事件に挑むのは、いまは零落したフランス名家の末裔、オーギュスト・デュパン。この主人公の造形がなかなか耽美趣味で、デュパンは昼は部屋の鎧戸を締め切って光を閉ざして生活し、夜になると家を出て街を散歩する。贅沢に耽るほど資産の余裕はないが、道楽といっても読書くらいのものなのでとくに生活に不自由はない。名家の末裔ゆえ警察の上層部とも顔見知りらしい。
密室殺人のトリックと犯人についてはとくべつ感心はしない。それよりもこの事件の被害者たる母娘の殺され方がかなり残酷だったのが意外だった。娘のほうは首を絞められたうえに煙突に無理やり押し込まれており、母のほうは「首がほぼ切断され」、胴体部分は「ほとんど人体の原型をとどめていなかった」。猟奇殺人である。しかし殺された死体がある以上、殺したものは必ずいるのであり、それを現場に残された手がかりから突き止めるのが名探偵の――つまりはデュパンの仕事だ。
いまの時代にこんなものを書かれたら読者は不満かもしれないが、約150年前に書かれた古典と思えば、密室のトリックにもおおらかな気持になって楽しめるのではないか。


本書には表題作のほかに「本能vs.理性――黒い猫について」「アモンティリャードの樽」「告げ口心臓」「邪気」「ウィリアム・ウィルソン」「早すぎた埋葬」の計8篇を収録。「自己の分身を殺す」「埋める」といったモティーフが共通している作品が多い。

本の形態にこだわりがなければ、ポーの代表作は青空文庫で読むことができる。
ポー エドガー・アラン [青空文庫]

ちらっと見たが田山花袋の「少女病」や、嘉村礒多や三木清やチェーホフも読めるのか。すごいなあ、青空文庫。


4334751105黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)
ポー 小川 高義
光文社 2006-10-12

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