epi の十年千冊。

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zoom RSS ブログ開設三周年

<<   作成日時 : 2009/08/19 00:00   >>

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ひとつの区切りとして。

6月中に迎えていたのだけれど公開した記事が300を超えるのに合わせたかったので。
本ブログが開設から三年を数えました。はじめた当初はこんなに続くとは思っていなくて、でも石の上にものことわざのとおりに三年続けたらいっぱしのものかなとは思っていて、でも実際そのときを迎えてみるとどうなのでしょう、いっぱしなのかどうか、甚だ自信はありません。ただ、書きかたについては少し落ち着いてきたと思っています。とうぶんはいまのような感じのブログであり続けるでしょう。ありがたいことに、幾人かのかたがたには定期的に訪問していただいているようで、それがとても励みになっています。ほとんど何も提供することができない本ブログに来てくださってありがとうございます。あらためてお礼申し上げます。

書物の世界はひとつの巨大な森のようで、町の小さな本屋であっても、ここに並んでいる本を一生のあいだに読みきるなど不可能なのだろうと考えると眩暈のような感覚に襲われることがあります。世に本の数が多すぎるのか、人の一生が短すぎるのか。おそらくはその両方なのでしょう。そして読めば読むほど、いよいよ深く森のなかへ入り込み、もはや振り返っても自分の歩いてきた跡はわからず、迷いこんだ心細さのなかで、さらに先へ先へと進むしかないのかもしれません。本ブログは方向音痴のわたしが、迷子にならぬよう幹に印をつけるようなものなのでした。

インターネットの普及によって、われわれの得る情報は膨大なものとなりました。かつては新聞や雑誌や、口コミなどが大きな位置を占めていたのが、いまは検索エンジンに入力するだけで世界中の情報に接することができる。大変な発達で大いに喜ぶべきことではありますが、ときにこの情報に振り回されている気がしてそれが怖くてまた不愉快で、だから最近はインターネット接続に自分なりの限定を設けています。なんとなくパソコンの前にいた時間を減らす。減らして何をするかというと、本を読むのもそうだけれど、料理を作ったり、スーツにブラシをかけたり、音楽を聴いたり、何もせずに仰向けになったりしています。ここのところ更新記事が滞りがちなのは、上記の理由によるのかもしれません。

オンライン上の情報を得ることが容易ないま、知ったかぶりをすることも容易です。本自体を読まずともあらすじを知ることができる。読んだ顔で発言できる。そうした現状にもどかしさを感じたのか、単なる風刺の意図なのか、筑摩書房のしおりに以下のような種類があります。
画像

「で、あなたは読んだの?」というこの台詞がなんとも小気味よいではないですか。この女性の対話者が、彼女の読んでいる本について他人の受け売りのようなことを発言して、それに対する返答がこうだったのか、そんなシチュエーションを勝手に想像しています。
あらすじを知ってのち本文にとりかかるという方法自体は小説の読みかたとしてはむしろ適切だと思いますが、あらすじのみを知っても楽しいことは少ないと思います。神は細部に宿るの言葉のとおり、そのあらすじを構成する言葉の流れに身を浸らせること、ここに読書の醍醐味はあるのではないでしょうか。

五十嵐大介氏の『魔女』という漫画の2巻に、こんな場面があります。魔女が、ともに暮らしている若い魔女見習い(というのとは少し違うのだけれど)が家事をなおざりにして本を読もうとするのを、いけないと戒める。なぜ本を読んではいけないの、と訊ねる少女に、魔女は、あなたには体験が少ないからだと答える。体験と言葉は同じ量でないと心のバランスがとれないから、と。これを読んでいたく感じる部分がありました。わたしにとっては、どんなに自然で、どんなに楽しくて、どんなに習慣化していても、結局本を読むことは趣味の領域に留まっています。これは生活することよりも軽視していい。本を読むことより、靴を磨くことのほうが大事。それに靴を磨くことだって、皮の手触りや、褪色の変化を「読む」ことなのです。人と会話することや、食事をすることや、空を見上げることだって、そう。どれも何かを読んでいる。われわれはいつも、何かを読んで生きている。書物だけに拘泥しなくてもいい。

こんなぬるいブログですが、この先いつまで続くのやら見当がつきませんが、これからもお付き合いいただけたら幸いです。本ブログを通してすばらしいブロガーと知り合えたこと、これがこの三年間で得た最上の収穫でした。日記のようなものにはするまい、という意思を、処女のように頑迷に、初々しく貫徹できたのはよかった。無名の人間の日記ほどつまらないものはない、そう思っているので。もっと私的な領域を減らしたいと思っているのだけれど、こと恋愛に関してはそうはできなくてときどき付けたしのように書いてしまいます。これが本ブログの特徴なのかな。

三年のあいだ、ときに記事の更新はしないときがあっても、ブログを書くということに嫌気が差したことは一度もありませんでした。読むことと書くことは、情報のインプット、アウトプットのバランスがとてもよくとれているのではないかと思います。思えば、窓辺に座って来ることなど決してない手紙を待つように、この三年を過ごしていました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
epiさん
ブログ開設3周年おめでとうございます。
今後とも記事を更新されるたびに訪問しようと思っています。
宜しくお願い申し上げます。

アルトゥール
2009/08/23 17:50
>アルトゥールさん

コメントありがとうございます。
身勝手なことを書いているだけのブログですが、こちらこそよろしくお願いします。
epi
2009/08/28 18:29

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