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zoom RSS 『悲しみを聴く石』 アティーク・ラヒーミー

<<   作成日時 : 2009/11/11 00:00   >>

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カブール出身の亡命作家がフランス語で執筆した小説。

舞台はアフガニスタンのどこか。あるいはべつのどこか。民族の誇りを守るための戦いに英雄として赴き、傷を負い、いまは植物状態となって横たわっている男がいる。彼のかたわらには彼の妻がいる。彼女はものいわぬ夫を見下ろし、彼の身のまわりの世話をしながら、これまで自身が決して打ち明けずにいたことを語り始める。

原題の「サンゲ・サブール」とはペルシア語で「忍耐の石」。この魔法の石に向かって人にいえない苦しみを打ち明けると石はそれを聞き、ある日粉々に砕け散る。そのとき、告白した人は苦しみから解放されるという古い言い伝えからとられている。ベッドに横たわったまま微動だにせぬ夫は、いつしか妻にとっての「サンゲ・サブール」となる。妻はこれに向かって、自らの生い立ち、夫への非難、そして裏切りを告白する。

舞台は夫婦が暮らしていた部屋のみ。小説は定点カメラで撮影されているかのようにこの部屋で起きたものごとしかとらえない。登場人物もかなり限定されている。夫婦が密室で、ストリンドベリめいた静かな愛憎劇を演じる。実際、この小説はとても演劇的だ。すべてが台詞によって説明されるし、そこでいま起きていることしか問題にされない。

この妻が体験するのは、世界のどこかで女たちが体験せねばならぬのかもしれない過酷なものだ。世界は広い。海外の小説を読むと、そのことをあらためて知る。重苦しくて陰鬱な物語であるのに読みふけってしまったのは装飾を排した素朴な文体のおかげ。

456009005X悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)
Atiq Rahimi
白水社 2009-10

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