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暗く、惨めな物語。 アメリカ東部からニューヨークにやってきたイタリア人のフランク・アルパインは、やくざ者に誘われて貧しい食料品店に強盗に入る。そののち後悔の念に苛まれた彼は(もちろん素性を隠して)店に戻り、店員として働きだす。罪の意識から給料は要求せず、一家の生活を支えようと一所懸命になる。しかし日が経つにつれ当初の意識は薄れ、ときどき売り上げの一部を盗んだり、店の娘が風呂に入っているのを覗き見するようになる。 店の娘のヘレンは美しく、フランクは彼女に恋をする。けれども彼女は極貧の家庭で育った反動で上昇志向が強く、将来性のありそうな男に目が向く。フランクは不器用なアプローチを続け、ヘレンのこころも彼に向きかけるのだが、恋しさが暴走して彼女を強姦してしまい、決定的に嫌われることになる。彼はそれから店を追い出される。 しかし店主が肺炎で死亡すると一家の生活は成り立たなくなり、フランクは今度こそ本当に彼らの力になろうと店に舞い戻る。ヘレンの嫌悪もいくらかは薄れる。そして最後にフランクがこの食料品店の主人となったところで小説は終わる。 はじめから終わりまで、金銭的な貧しさがいかに人間を追い詰めるのか、それが書かれる。ユダヤ人の店主はロシアで生まれ、アメリカへ来たものの商売はうまくいかず、家族にいい暮らしをさせてやることができなかった。娘に大学教育を受けさせることもできなかった。上昇志向の強い娘は働きながら、いつかは大学へ行くのを夢見ている。けれども現実味は乏しい。 フランクもまた貧しさの犠牲者で、過去に路上で寝起きした経験をもっている。彼が食料品店に強盗に入ったのも貧しさが原因だった。 フランクの盗みといい、覗きといい、貧しさに圧しつぶされている者のモラルの荒廃を見るようで、読んでいて息苦しい。自分は特別な人間であり、何事かをなすことができると若さゆえに盲信していた彼が、客のろくにこない食料品店の店主におさまるという筋に爽やかさは感じられず、痛ましさがあるばかりだ。自分が特別な人間だと思うこと自体が凡庸さの証であるということも知れる。
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