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zoom RSS 『砂漠の惑星』 スタニスワフ・レム

<<   作成日時 : 2009/12/01 00:00   >>

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『ソラリス』、『エデン』とともに未知との遭遇を扱う三部作のひとつ。

小説は宇宙船無敵号が琴座のはずれに位置するレギス第三惑星に到着するところからはじまる。6年前にこの星で消息を絶ったコンドル号を捜索するために彼らはやって来たのだった。見渡すかぎり砂漠が広がり、生命の気配が感じられないこの死の星で、やがて無敵号の乗組員たちはぼろぼろに破壊されたコンドル号の残骸を発見する。装甲には無数の小さな穴が空き、乗組員たちは船内で死体となっていた。彼らの身に何が起きたのか。調査を続けるうちに、レギス第三惑星は地球とは異なる独自の生命進化が行われたことが明らかになる。ハエのようにごく小さな機械生命の群れが、敵対する生物を排除する本能のままにこの星を支配していた。この機械生命は戦いのために終結すると黒い雲となって敵に襲いかかる。無敵号の乗組員たちはこの未知の存在と対決するのを余儀なくされるのだが。

乗組員の命を奪った敵に対して報復しようという意志は、この星においては何の意味ももたない。機械生命たちは敵ではない。彼らは地球とは異質の自然であって、彼らの襲撃によって人命が奪われたとしても、それは海が船を沈めてしまったのに腹を立てて海に攻撃しようとするのと変わるところはない。登場人物の一人は独白する。
人間はまだ必要な知性の高さには達していない、ということをロハンはあらためて痛感した。人間はまだ、遠い昔からの夢であった銀河系的人間という美しい呼び名にふさわしい存在にはなっていないのだ。重要なことは、単に人間に似ているような生物を探し出すことでもなければ、そのような生物の存在だけを理解することでもない。さらに人間に関係のないようなことがらには干渉しないという心の広さが必要なのだ。

『ソラリス』は海の姿をした超知性と遭遇した人間を扱った。本作は、未知の進化を遂げた生命との遭遇、そして戦いを扱う。「この宇宙のすべてが人間のために存在しているのではない」。もしも本当に宇宙が無限の広さをもっているのなら、その無限のどこかでいつか出会う生命が人間の理解の範疇を大きく超えていたとして、何の不思議があるだろう。

同じテーマを扱って思弁的な『ソラリス』と比較すると、娯楽的な側面のある本作のほうが読みやすいかもしれない。

4150115664砂漠の惑星
Stanislaw Lem
早川書房 2006-06

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4150102376ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)
飯田 規和
早川書房 1977-04

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