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zoom RSS 『ゴールデンボーイ』 スティーヴン・キング

<<   作成日時 : 2009/12/05 00:00   >>

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対照的な二編を収める。

「刑務所のリタ・ヘイワース」はショーシャンク刑務所を舞台に、無実の罪で捕えられた男が30年の歳月をかけて脱獄を成功させるお話。アンディーという主人公の銀行員が、不思議な魅力を発揮して刑務所内で半ば伝説的な人物となっていく過程を、彼と親しかった囚人が回想形式で物語る。アンディーの脱獄方法が明らかになったとき、タイトルの意味が理解できる。どんなに過酷な状況下でも希望を失わないことの大事さをうたいあげ、ラストでは感動を誘う。

「ゴールデンボーイ」はうって変わって人間心理の暗部に焦点をあてた恐ろしいお話。偶然、近所に住んでいる孤独な老人がナチス戦犯だと知った少年は、彼を訪問し、かつて彼らが行った残虐行為の数々を聞く。聞いていくうちに殺人に興味をもちはじめた少年は、足のつかない方法で浮浪者を殺しはじめる。一方、少年の訪問によって封印していた過去の記憶が蘇った老人も、かつての快楽を取り戻すかのように浮浪者を自宅に招いて殺しては地下室に埋める。不気味な二人の交友はお互いの安全のために切っても切れぬものとなるが、やがて老人は死に、彼の犯した殺人の共謀者とみなされた少年は破滅を悟り、ウィンチェスター銃を携えて町へ出て行く。
健全で頭脳明晰な少年が殺人の魅力に憑かれ、徐々に理性を失っていく過程に背筋が冷たくなる。超常現象などよりも、生きている人間のほうがよほど怖い。最後の一節は蛇足で、これがなければもっと怖かったと思える。

二作ともストーリーテリングが巧みで、退屈することなく一気に読める。どちらもが映画化されており、とくに「刑務所のリタ・ヘイワース」が原作の「ショーシャンクの空に」は名作として名高い。原作は映画以上によい。

410219312Xゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
新潮社 1988-03

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