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zoom RSS 『ジーヴズの事件簿』 P・G・ウッドハウス

<<   作成日時 : 2010/02/09 00:00   >>

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とにかく面白い小説を読みたい気分のときに。

探偵小説にも英国文学にも大きな影響を及ぼし、20世紀前半最大の散文家とも呼ばれたウッドハウスには多くの作品があり、その全容を把握するのは困難だという。彼には多くのシリーズものがあったが、そのなかで最大の人気、知名度を誇るのが本書に収録されている「ジーヴズ&ウースターもの」。間抜けで金持ちの若旦那バーティ・ウースターと、彼に仕える完全無欠の天才執事ジーヴズのコンビによるユーモア小説で、英国では映画やテレビドラマや舞台にもなっているとのこと。ウッドハウスは60年以上にわたって「ジーヴズ&ウースターもの」を書き継いだ。その膨大な作品群のなかから12(+1)篇を収録したのが本書。

基本的に物語の展開はどれも同じ。気弱でお人よしでドジなウースターがトラブルに巻き込まれ、それを相談された執事のジーヴズが意想外の手段を用いて解決する。このパターンは漫画「ドラえもん」の、のび太とドラえもんの関係によく似ている。ジーヴズに不可能はなく、彼の解決策にウースターともども首を傾げる読者も、結末まで読むとジーヴズの手腕に感心する。お約束の展開なのに飽きないのは、ここにミステリ的な謎ときの要素があるからでもあるだろうし、登場人物たちのやりとりが笑えるからというのもあるだろう。

短編連作となっているので冒頭から順に読んでいくのが好ましい。どんなに意外な展開になっても、それを見越して対処するジーヴズの超人ぶりには呆れるばかりで、執事でなくてもこういう友人がいてくれたらと思わずにいられない。ウースターとジーヴズの関係は必ずしもつねに円満というわけではなく、とくに主人の服装の趣味をめぐってときどき冷戦状態になる。雇われの身とはいえ保守的なジーヴズには意固地なところがあって、主人のほうから折れるまでは慇懃無礼な態度を崩さない。結局、助けがないと困るウースターのほうが折れざるを得ない。このあたりの力関係がおかしい。

感嘆するのは、笑いというのはかなり時代や国境による制約を受けるだろうに、それをここまで普遍的なものにしている点だ。もちろん、当時の英国の読者が読むのと管理人が読むのとではだいぶ異なるのだろうけれど、それでも面白おかしく読めるのだから、これはもう手放しで賞賛するしかないだろう。

特別収録として、「ジーヴズ&ウースター」コンビ誕生のきっかけとなった「ガッシー救出作戦」が、付録としてイーヴリン・ウォーと吉田健一によるウッドハウス讃が付いている。


416324090Xジーヴズの事件簿 (P・G・ウッドハウス選集 1)
岩永 正勝
文藝春秋 2005-05-27

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英国、執事つながりでこの小説を思い出した。
4151200037日の名残り (ハヤカワepi文庫)
Kazuo Ishiguro
早川書房 2001-05

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