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zoom RSS 『ナジャ』 アンドレ・ブルトン

<<   作成日時 : 2010/02/14 00:00   >>

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小説というよりは自伝。

本書は、著者の人生の一時期を切り取ったドキュメント。登場する人物はすべて実名で、彼らの口にする台詞もすべて実際に発せられたものだという。
タイトルのナジャは女の名前。20代の半ばで、娼婦のような仕事をしていたようであり、小さい子どもがいる。パリの一角で偶然彼女と遭遇した語り手(=著者ブルトン)は彼女に強く惹かれ、その言動を逐一記録する。「あなたは誰?」という語り手の問いかけに彼女は答えるだろう。「私はさまよう魂」。ときにはボロをまとって、ときには美しいドレスを着てあらわれるナジャ。その名は偽名で、ロシア語では希望を意味する「ナディア」から選ばれた。「なぜって、ロシア語で希望のはじまりだから。はじまりだけだから」。謎めいた女。本書の中心に据えられるナジャと語り手の物語はしかし、わずか9日間のことに過ぎないのだ。そののちテクストはナジャの記憶を回想する記述になるだろう。

本書のなかではつかみどころのないナジャの人物については、巻末の解説に詳しい。彼女は最終的に精神に変調をきたし、精神病院に入院することになる。「私はもうかなり長いあいだ、ナジャと理解しあえなくなっていた」に続く箇所で、語り手は精神病院のシステムを攻撃する。正気と狂気の境界について、シュルレアリスムは何とするのか。

ブルトンは1962年に、35年前の作品である『ナジャ』に手を入れた。本書がそれで「著者による全面改訂版」。100頁もの分量の訳注が付いている。挿入されている多数の図版によって、語られることのより核心に近づいていけるような錯覚を起こさせる。

4003259025ナジャ (岩波文庫)
巖谷 國士
岩波書店 2003-07-17

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