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zoom RSS 『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル

<<   作成日時 : 2010/05/21 00:00   >>

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ナンセンスな冒険譚、あるいは言語の迷宮。

5月のある昼下がり、お姉さんと土手に座っていた少女アリスは退屈のあまりうとうとしはじめる。ふと気がつくと、目の前を上着を着たシロウサギが「くわばら、くわばら、おくれてしまう!」といいながら横切っていく。好奇心に駆られた彼女がシロウサギのあとをつけていくとその姿はウサギ穴のなかに消えた。彼女もあとに続いて穴に飛び込む。地球の裏側まで繋がっているかと思われるほど深い穴の向こうにようやく出ると、そこは不思議の国だった。彼女はその国で禅問答めいた口をきく青虫や、「気ちがい」の三月ウサギと帽子屋、癇癪もちの公爵夫人、にたにた笑うチェシャー・ネコ、カードの王様と女王、学友のウミガメモドキとグリフォンに遭遇する。本邦では児童文学に分類される作品だが、ここには児童文学につきまといがちな教訓も感傷もない(作品内で教訓は風刺され、感傷はオチをつけるために物語の最後でさわやかに用いられる)。たとえばエンデの『モモ』やケストナーの『飛ぶ教室』と比較すると、『アリス』が同系の文学として分類されるのにはやや違和感がある。『アリス』を特徴づけるのは、ナンセンスなジョークの連続と駄洒落の乱反射だからだ。ネジの外れた悪ふざけっぷりが心地よい。

巻末に訳注がついており、ここを見ると翻訳で話の筋を追うだけでは本作を楽しむのに限界があるのがわかる。言語のもじりと語呂あわせの遊び、さらには楽屋オチ的な要素もある。これだけ翻訳のバージョンがある作品もあまりないだろう。もともと本作はキャロルがアリス・リデルという少女のために即興で作ったお話がもとになっており、本作は彼女に捧げられている。思春期前の少女への思い入れの強かった作者には作品以上に興味を惹かれる。誰が何を好み何を美しいと思うか自由であるのはいうまでもないけれど。

本書の挿絵はアーサー・ラッカムによるもの。ジョン・テニエルの挿絵が有名だが管理人はラッカムのほうが好み。

4403030343不思議の国のアリス
アーサー ラッカム
新書館 2005-12

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